うたた寝  〜CP別、一考察
 



   かたたん、こととん、かたたん、こととん………。


 鋼の轍がレールの継ぎ目を叩くのか。それとも、車両の連結部での押し引きが立てる音なのか。無気質なはずの、なのにどこか、ちょっぴり温かい音が連綿と響いて来ていて。それなりの重さのある音ながら、それでも速さのせいでか軽快なまま、規則正しく弾まれてくリズムは、足元から疲れちゃった体には、あまりにも心地いい。すぐお隣りという傍にいるお友達も、同じくらいに疲れてしまってか、何だか口数が減っていて。シャツとジャケット越し、触れてる腕同士がほやほやって暖かい。窓から斜めに差し入る秋の陽射しが、ほんのり茜に染まり始めてるJRの車内は、週末のこの時間にしてはそんなに混んでもいない方。輪郭の曖昧な、さわさわとした車内のざわめきが、どうしてかな、子守歌みたいに聞こえて、あのね? 身体っていう器の縁いっぱいまで届いてた、満ち満ちて張ってた意識が、ちゃんと周りと接してた境目からゆっくりゆっくり剥がれてって。手や足の先っぽが、暖かくなってく端から力が抜けてって。そんなしてちゃダメなのに、まだ電車の中なのに、なのになのに気持ちがいいから。瞼が重くてついつい眸を伏せると。あ、電車の“こととん”とか車内放送が、ちょっと大きくなって間際にまで押し寄せて来たみたいかも。なのにそれも少しずつ遠ざかる。ボクっていう中身が、すうって何処かへ引き離されてくような感覚がして。とにかくもうもう、眠くて眠くて………。





   ――― セナくんと一緒にいるのは、
十文字くん? それとも進さんでしょうか?



    十文字くんを選んだ人は →

    進さんを選んだ人は →

 

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